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「わかっちゃいるけど やめられない!」

2022.02.01

1960年代~日本経済の高度成長期に、「ハナ肇とクレージーキャッツ」なるバンドが一世を風靡していた事がある。今を去る事半世紀以上であり、ご存じの方もかなり少なくなったのではないだろうか?
このバンドであるが元々はかなりの実力を持ったジャズバンドであったが、次第にテレビの普及・出演と共にコミックバンド的な活動に変化していった。

このバンドのメンバーの一人に「植木 等」なる方がおられた。「日本一のいい加減男」などと称され、ビートたけし・タモリといった層に大きな影響を与えた日本喜劇界の最高峰の一人である。(バンドマンではあるのだが・・・。)
この方のヒット曲「スーダラ節」の一節に「わかっちゃいるけど やめられない」というフレーズがある。

本フレーズだが現在では普通に会話の中でも使用されるケースが多いようで、酒・タバコ・博打・遊び事などから日常の個々の「癖」に至るまで、若干避けるか控えた方が良い事でもなかなか止めづらい時に利用されている。 
筆者の場合「タバコと酒」がその最たるもので、まさに「わかっちゃいるけど 止められない」状態であった。

ところが先日左手先と唇に軽い違和感を覚え、徐々にその範囲が拡大していった為病院へ行くと「脳梗塞」と診断され即入院となってしまった。筆者の場合極めて軽症で済んだため殆ど後遺症は無かったが、それでも左手指の感覚に違和感が残っている。

脳梗塞とは大まかに言って「血管内部に溜まった悪い脂分が、脳内の毛細血管内で詰まってしまいその周辺の神経などに影響を及ぼす症状」である。
軽い麻痺なので済むケースもあれば、半身麻痺や脳機能障害を引き起こすケースもある。
筆者の場合低血圧気味(上が100なし)で少し血が脂っこいレベルのまま永きにわたり健康診断で引っかかる事は無かった。
原因は喫煙による毛細血管の硬化と診断され、3泊4日の入院生活となってしまった次第である。

軽症の場合でも睡眠後そのまま永眠になってしまうケースもある為、「SCU」なる脳疾患専門の集中治療室に担ぎ込まれた。(翌朝この話を聞いてぞっとした。)
先にも書いたが突発性・慢性問わず脳疾患については「SCU」に収容の上、監視下に置かれる。
入院した病院は救急病院の為、新型コロナの影響もありほぼベッドは満床で野戦病院の如くごった返していた。
その結果「SCU」内部に収容されていた患者は表現は悪いが「余命がほぼ無い」「夜中に大声で叫んで点滴を引きちぎる」といった患者の方が、多数存在していたのだ。
その為3日連続眠る事ができず、退院時には意識朦朧の状態となっていた次第である。

入院した際の環境から医療従事者の方々への感謝と同情・敬意を当然感じたが、何にもまして自身の健康の大切さを痛感し節制に努めようと決心した次第である。
あの環境を経験すれば、「わかっちゃいるけど 止められない」とはさすがに言えなくなってしまった。

 

そんな環境下で眠れない為ヒマを持て余し、筆者は探していた中古ゴルフクラブをネットで見つけ購入してしまった。(左手の後遺症も分からないままである。)
退院して家に着くと玄関前に、購入したクラブが「置き配」されていた。
それを見た瞬間迎えに来てくれた家内から一言。

「サラリーマンは 気楽な稼業ときたもんだ!」 


失笑 礼拝
執筆:Y.O

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