筆者は学生時代から登山が趣味であったり長い事単身赴任が続いたせいで、料理はそこそこ自分でも作る事が苦にならない。洗い物が苦手なのと年齢もあって、揚げ物には手を出すことは少なくなった。毎日晩酌する事が楽しみの一つで、しばしば自分でつまみも賄う事がある。

　ある日友人と自宅で酒を飲むことになりつまみを作って共に飲みだしたのだが、今までよりペースが遅い。不思議に思って聞いてみると、血圧の問題から塩分摂取量を減らせと言われたようで、自宅ではかなり節制した食環境になってしまったとの事。全てが薄味になり外食も控えるように言われており、今日は久しぶりに外での会食なのでしみじみ味わっているのだとの答え。

「先にそれ言ってくれよ。それなら減塩調理したのに。」

「いや、言ったら薄味になるから嫌だったんよ。」

「俺の飯で具合が悪くなっては、感じ悪すぎる。それに減塩料理やなくて減塩調理だから、あんまり感じないと思うけど。」

「減塩調理って？」

「まあ塩分抑える代わりにダシとかの旨味成分を増やして、風味で美味しさを引き出す方法かな。」・・・

　あまり細かくレシピとかを伝えると友人の奥様にも感じ悪いと思い、一品作って食べさせた。そして気に入ったかどうかを聞いた上で、お土産とレシピが入った本を貸し出したのである。

　数日してメールが入り、ご自宅の料理が元に戻ったとの知らせが書いてあった。今度はウチに飲みに来いとのお誘い付きである。喜んでお邪魔したのは言うまでもない。

　健康であるからこそ趣味が楽しめ、美味しい食事にもありつける事は間違いない。また日常の些細な工夫で美味しさと健康は、両立できる分野が結構あるようだ。少し関心を持てば、長く楽しい時間を過ごす為の食事を見つけられる世の中。楽しめる一つの趣味してみてはいかがか？

執筆：Y.O

【アゴ出汁アゴ塩の浅漬け】
　・鹿児島県で作られているアゴ（トビウオの干物）の粉末と海水塩で作った塩を混ぜた「アゴ出汁アゴ塩」を利用した浅漬け。
    （塩分は３割程度カットできます）
　・きゅうり、キャベツ、セロリなどでお試しください。